レヴィ=ストロース「野生の思考」とアジャイル開発。

長らく興味を持ちながらも、読み解くのは難しいレヴィ=ストロースの「野生の思考」を中沢新一さんが解説している動画を見つけました。ちょっと考えさせられるところがあったので久しぶりにメモを残しておきます。

 

 

『野生の思考』 2016年12月 (100分 de 名著)

『野生の思考』 2016年12月 (100分 de 名著)

 

 

 

中沢新一さんは、なんと言っても「難しいことを簡単に説明する私の先生」。毎度その解説の仕方はとても参考になります。今回「野生の思考」の紹介の中で面白かったのは物作りのアプローチ「ブリコラージュ」元は日曜大工という言葉だそうです。


100分de名著 レヴィ=ストロース 野生の思考 『野生の知財と「ブリコラージュ」』 Part2 伊集院光 中沢新一 田中泯 毎週水曜日 100ぷんで名著

 

 

いわゆる「先住民の野生の思考」アプローチだと「記号を用いる。記号とはありあわせの道具や材料であり、自分の手でフレキシブルにものを作ることであり、絶えず揺れやずれを持っている」に対して、「科学的思考」だと「概念を用いて、計画に即して既製品を使って技術者が完成品を作る」ものだということらしいです。

何が面白いかというと、ここ数年のICT`開発スタイルで流行りのキーワード「アジャイル開発」「スクラム開発」「GitHub flow」の世界に近いなと思ったからです。

これらの世界では、ICTシステム開発に、顧客や利用者を最初から開発に巻き込んで、開発を繰り返しながら定期的に成果物をリリースするスタイルが提案されています。極端な話、顧客と開発チーム間、開発とリリース(運用)を繰り返し続け、これまでの要件、見積もり、開発、納品、という一つのプロセスで終わらせるのではなく、永遠に完了(完成)しない世界だとも言えます。

これがブリコラージュで説明された、「先住民の野生の思考」と近しいなということが面白く、アジャイルソフトウェア開発宣言なんかは、中沢新一さんはご存知かもしれませんが、興味を持たれるんじゃないかなと強く思いました。

他にも開発手法ではありませんが、「贈与=シェアリングによる情報の循環、拡大」とか、「富の再分配の組織化」とか、アーキテクチャ論としても楽しめました。

 

agilemanifesto.org

 

 

 

 

 

 原本はこちら

野生の思考 (1976年)

野生の思考 (1976年)