梅棹忠夫「京都の精神」
- 作者: 梅棹忠夫
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/09/22
- メディア: 文庫
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観光産業について以前から、興味があって近くの図書館でぶらっとしてたら
この本に出会いました。梅棹忠夫さんが書いた本ということで、手に取った
んだけど、観光に関して書いてあったので借りてきました。
全部を読んだわけではなく、興味のあった所だけ読んだのですが
1966年の講演「京都の未来像」
1970年の講演「70年代の観光京都のビジョン」
この二つの話にとても刺激を受けました。
1960年代後半から1970年の講演って、自分が生まれる前なんだけど
とても鋭い内容。はっきりいって、わかる人ならば節のタイトルを見れば
どれだけ今でも新しいのか感じられるのではないでしょうか?
「京都の未来像」(抜粋)
- 未来をかんがえる
- 京都はどうなるのか
- 京都は観光都市か
- 「文化」をうる時代
- 文化産業都市
「70年代の環境京都のビジョン」(抜粋)
- はじめに
- 京都は観光都市ではない
- 観光ではくえない
- 観光郊外
- 観光産業のかんがえなおし
- 観光と文化
- 観光による破壊
- 業界の姿勢の問題
- 「体験情報」をうる
- ペンキ追放
- 復元的開発
- 略奪産業
- 創造的観光産業のすすめ
梅棹さんの主張は、京都人は京都を観光都市とは考えていない。そもそも観光産業で得られる収入は京都の産業全体の一部にしかすぎない。観光産業と言うけれど、重要な観光資源を破壊/略奪して、価値をどんどん減らしている。京都人にとっても迷惑な話だ。ということです。
じゃあ、どうすべきかというと、観光資源を切り売りするのではなく、
「文化」を売るべき。文化を売るとは「体験情報」である。
観光客に対して、観光資源/記念品を売るのではなく、体験/経験を売るべきである。と言われています。近年のキーワードで言い換えるなら「ユーザ体験」「User Experience」のことですね。機能ではなくユーザ体験を売るというのはアップルの戦略でもあり、もはや定着した考え方です。
これから改めて、体験情報とは何か、産業のシステム化まで含めたアーキテクチャを考えたいと思います。